福澤
僕も牛のこと好きなので、牛をどうやって健康に育てようかとか、そういうことを常日頃考えていて。僕らがやっている仕事って、良い牛を育てるっていうのも大事なんですけども、「落ちこぼれを出さない」っていうのが本当に1番大事にするべき事なのかなって最近は思っていて。 10頭出したら(出荷したら)、10頭全部、自分が「どうぞ買ってください」と言えるような健康な牛を育てるっていうのが、僕ら努力するべきところなのかなと思ったら、やっぱり日々の管理・記帳、そうやって様子を見てからの予防ですよね。そういうことに力入れなきゃならないなあと思った矢先に(池田)先生と出会ったので。 色々教えてもらいながら出来そうかなっていうのは、1つきっかけで。
池田
はい、僕もvetellを作ったその経緯というと、やはり子牛に病気が多い、その子牛の病気をいかに防いで行くか、させないようにして行かなきゃいけないという思いがありました。たとえ病気になったとしても、それを「早く発見して、早く治療して」っていうところが、やはり獣医師として使命の1つでもある。
僕も現場に行き治療していてもなかなか上手く行かないこともあって、農家さんと話ししていても、「実はこういう治療している」とか「実は○日前からこうだったよ」っていうのが(こちらから)根掘り葉掘り聞かないと分からないことがあったり。「もうちょっと、もうちょっとでも早く分かっていれば」とか、「何かきっかけがあった時に知らせてくれたら、 もうちょっとうまく(治療が)出来るのにな」っていうジレンマがあったので。そういうことは僕の自分自身の悩みとか痛みもあってvetellを作ってやって行きたいなと思っていますね。
福澤
そうですよね。
僕ら牛飼いは、第3者的な違う職種の人から見たら「割とのんびりとした仕事なのかな」と思われているのかも知れないけど、でもそののんびりした中にも必ず1個ずつ違うところがあって、(牛は)生き物なので、一日少しずつ大きくなって行くだろうし、体調も崩すだろうし、そういうのって僕らは見ていたら分かるので、変化に富んでいるんです、毎日ね。
だけど、その変化をキャッチすることは出来るんだけど…
池田
それを利用する、伝える、共有するとか…
福澤
そうそう、それが僕らにとってはちょっと難しいことだった。それは僕の、この福澤農場がスタッフっていう形で、人が1人増え、2人増え、牛もたくさん増えている時に、すごく切に感じたことで。
池田
スタッフさんが増えてきたのも、こういう記録管理をしっかりして行かなきゃいけない、情報を共有して行かなくてはいけないと思ったきっかけではあったんですか。
福澤
そうですね。やっぱりうちのスタッフはみんな一生懸命で、みんな何かを感じ取ろうとしてくれるし、やってくれるんだけど。それを共有して、誰が見つけて、誰が治療したのか、これはどうしたら良いのかって相談もそうですし。 牛舎もそれぞれが離れていたり、担当が決まっていたりするので。そういう(情報共有の)部分は大きいですよね、1人でやっていたらね。
池田
そうですね。じゃあ今のお話の中にもありましたけど、普段使われている中身・内容とか使っている部門っていうのは、やはり子牛中心ということですか。
福澤
そうですね。vetellもたくさん機能が増えて、いろんなことに使えるかなと思っていて、(データ)移行の最中ではあるんですけど、今使っているのは子牛メインで、出生から売るまで、誰に、どなたにいくらで買って頂いたかというのは、記帳だとかも含めて管理をしていますね。
池田
(vetellを)使ってみて今、手応えどうですか?過去とちょっと変化した事とかってありますか?
福澤
(初期の)入力をVETELL社の方で入力して大まかにして頂いたということもあって、今どこにどの牛がいて、どの状況なのかっていうのはすごく(把握が)便利になりました。うち牛舎は何棟もあるんですけど、その中の1番目の部屋にいるのか、2番目の部屋にいるのか、それがみんな共有出来ているので、もうそれだけでも本当に時間を無駄にしないで済む。
市場に持って行った時も、僕は売る前に牛の治療歴どうだったかなとかいうのを見るんだけど、「あんまり風邪もひかないで、すくすく育った牛だな」とか、そういうのも分かるし。買って頂く時にも、力強く「よろしくお願いします」って自信もって言える。良いかなって思っています。