池田
福澤農場さんの概要、規模だとか牛群構成教えて頂けますか。
福澤
総頭数で今は約430頭です。で、そのうちの180頭が大規模牧場さんから牛をお預かりして妊娠させるっていうような受託ですね、預かって妊娠させるような仕事をしています。残りはうちの牛になりますので、おおよそ250頭ぐらいですね。
そのうち、うちの特徴的なのが受精卵を使って和牛を生産しています。その受精卵を採る牛っていうのは、もちろん和牛なんですけど、採取した受精卵を移植する牛っていうのは、乳用交雑F1を使っているんですよね。F1って本来でいけば、あまり繁殖には使わない種類の牛なんですけど、ホルスタインの良いところも和牛の良いところもあって、分娩も和牛よりも大きい子牛も安全に産んでくれます。
池田
そうですね、体格が大きいから安産に産んでくれる。
福澤
僕はこれ、良い牛だなと思いながらやっていて。で、基本は生まれたその子牛を十勝市場に上場しているんですけど、その採った受精卵を販売することもしていますし、同時に他の農家さんにも受精卵移植の技術を提供するという仕事をさせてもらっています。
池田
福澤さんの採った卵を、そのまま農家さんに付けに行くってこともよくあるんですか。
福澤
そうですね。定期的に凍結卵の販売もあるんですけど、凍結できない卵を、近隣の農家さんだとか、若い地元の「これから頑張るぞ」って言っているような方たちに使ってもらって、凍結できないその日に使わなきゃなんないので。
池田
そうですね。新鮮卵で移植に行って・・・。
福澤
そうそう。制限はあるんですけど。僕もその卵を採る牛はゲノムで選抜したり育種価で選抜したり、自分たちの中では、かなり選りすぐった牛で採卵しているので、その遺伝子を有効に使ってもらって、十勝の和牛基盤が少しでも向上するようなれば良いなと思いながら作っています。
池田
福澤さんご自身は、移植師の免許をお持ちで移植しに行ったりとか。ここが福澤農場としてだけではなくて、授精所としても登録されていると。
福澤
そうですね、20年前に移植師の免許を(取りました)。勉強して働きながら。親父が取りに行かせてくれたんです、忙しい中ね。もうちょっと知識や技術深めたいなということで、全農ETセンターさんの方で研修を何年間かさせてもらって、自分の牛にやるようになって。
池田
では、そういった和牛繁殖をされている中で、今の福澤農場さんにはvetellを入れさせて頂いていますけど、導入するきっかけだとか決め手ですね、教えて頂けますか。
福澤
正直な話、今まで自分たちでやってきたスタイルっていうのが、やっぱり特殊なので、受精卵を採卵して預かっている牛に移植をして、そういうちょっと複雑な経営をしていたので、まあそれに使うシステムが無いだろうなって正直思っていたので、自分達の中で使いやすいものは作ってはいたんですけど。
池田
それはパソコンで、エクセルで?
福澤
エクセルです。子牛を管理するっていう部分に関しては、僕らはやっぱりまだ紙ベースだったりしていたので、それを共有するのは、やっぱりちょっと難しいなあっていう気持ちがずっとあったんですよね。で、何かないかなって思っている時に、いろいろ世の中に(システムが)出始めたんですけど。敷居が高いかな、まだそんなに子牛の頭数いなかったし、なんかもうひと押し無いかなと言っていた時に、「vetell」というの(と出会って)。で、やっぱり1番のきっかけは「池田哲平」っていうのが、僕にとっては1番大きかった。
池田
福澤さんと出会ったのも、やはりこの2~3年ですもんね。
福澤
そうそう。