池田
 藤井牧場さんで、実際に利用している部門、どういうところで利用されるか教えて頂けますか。

吉田
 哺乳の部門で使わせて頂いております。搾乳や繁殖などでは、デイリーコンプ(DairyComp305)という管理ソフトを使わせて頂いているんですけれども、哺乳の子牛の飼養管理の履歴は、デイリーコンプでは利用していなかったので、(vetellは)子牛の観察記録などに使わせて頂いております。

池田
 デイリーコンプは、今までその搾乳牛とか親牛にしか使ってなかったということですけど、子牛の管理には使えない、それとも使いにくいから使ってなかったとか、その経緯はご存知ですか。

吉田
 (デイリーコンプは)イベントの入力項目に限りがあります。その中で繁殖の記録などを重点的に使っているので、(初産分娩前の)哺乳での記録を最小限に、グロース状態(*体重などの成長記録)のみ入力をして、それ以外の部分に関しては、繁殖の記録などに当てていました。
 それで一時期、デイリーコンプを子牛用に使ってみようかということで、子牛用のファイルも作ってやっていたのですけれども、試行錯誤している中で、社長の方から「vetell使ってみたらどうだ」という話を聞きまして・・・。

池田
 実際に今、vetellを使われていて子牛の管理に関しては、どのように変わりましたか。

吉田
 こういった形で紙ベースで普段記録を取っているんですけれども、いずれはこの紙ベースで記録している内容をすべてvetellの管理にして、この紙自体を無くして行きたいっていうのはあります。
 vetellの利点としては、それぞれ(の従業員が)持っているスマートフォンから入力が出来るので、事務所に一回一回戻って来て記録した内容を打ち込んでというのが、現場で自分の携帯で入力が出来るので そういった点が便利だと感じているのと、vetellで(個体識別・耳標)番号を入力するだけで牛の記録がずらっと出てくるので、今重宝させているのは市場の申し込みの時に抗生物質の最終使用履歴を探して記録する手間がグッとコンパクトになっていたり、あとは体調崩した牛が出た時に「この子牛どういう履歴だったかな」と獣医さんに状況の情報を説明するときに、(履歴・記録の)洗い出しというのは非常に短時間で楽になり、また利点かなと感じています。

池田
 今、仰っしゃられた二点ですね。日々の子牛の記録・管理が履歴として見えてくるのと、抗生物質が最終的にいつ使われていて、それがクリアされているかどうかっていうところ。

吉田
 牧場では複数人で仕事をしているので、その人その人で記録していた内容もパッと見られるので、経過を見やすいっていうのは利点かなと思っております。
 体温とか活力・食欲・呼吸数など記録できまして、投薬の記録も・・・。

池田
 非常に細かく色々使って頂いて嬉しいです。
 仰っていた、獣医師の先生との情報連携とか経過を伝えやすくなったというところ、もう少し詳しくお話し聞いてもよろしいですか。

吉田
 獣医師の先生に牛の説明をする時は主に 2パターンあります。
 1パターンは、開業医の先生に「今こういう子牛がいて、ちょっと診療お願いしたい」とか「相談させて頂きたい」と言った時に、私が画面を見ながら子牛を目の前にして説明するという形を取らせて頂いております。事務所に戻らずに自分の携帯を牛舎で取り出して「この牛こういう状況だったんですよね」っていうのを、その場で的確に伝えられるっていうのはとても便利だなと感じております。
 (もう1パターンは、)二週に一回来ているコンサルタントの先生に「あのナンバーの牛どうなった」と聞かれて、画面を見せて「こうなんですよ」と、画面見てもらいながら説明させて頂いたりはしています。
 ある程度処置している牛ですと、僕らもある程度頭の中には「こういう治療をしている牛がいる」っていうのを覚えているんですけども、頭数が頭数ですので「この牛どうだったっけ」と、ちょっと情報がこんがらがる時がありまして、vetellの画面でパッと見られるというのは「あー、そうだった、そうだった」ということで、「こうなんですよ」って(獣医師に)説明出来るので、それはとても便利だと感じています。

池田
 もう一点、抗生物質ですね。残留があると「どのようにデメリットがあるのか」とか、市場に出す時に「どのようにしてなきゃいけない」とか、具体的に抗生物質の部分に関してはどのように使われていますか。

吉田
 農協に提出する市場のファックス申し込みの中で、備考欄に最終投薬履歴を記入することになっているので、そういった時にパッと遡って休薬期間とか次打つのに時間を空けなくちゃいけないような薬剤の情報を出す時に(使っています)。

池田
 それがvetellの画面で確認したらすぐ判るというところですね。今まではどういうご苦労があったのでしょうか。

吉田
 今までは、本当にこの日報をペラペラめくって遡って、子牛が生まれた日まで遡って「(記録が)無いね、無いね、無いね。よし!この牛は(投薬履歴が)無かった!」というのを一頭一頭、ちょっとそれはあまりにも無駄だなと思っていたので。
 獣医診療の時に説明する時も、事前に紙をめくりながら別のメモに一回写し換えてから「この牛こういう状況です」っていう情報提示をしていたので、本当になんか(手間が)無駄でしかなくて・・・。

池田
 それは本当に大変でしたね。
 紙からパソコンとかスマートフォンに移りvetellで管理出来るようになったことで「情報を写し換えたり確認したりという作業が減った」というのと、今まではパソコンに入れるにしても1台のパソコンでしか操作が出来なかったのが、皆さんもう既にお持ちの「自分のスマートフォンを使って入れられる(入力出来る)」っていうところが・・・。

吉田
 とても使いやすいと感じている部分ですね、ありがとうございます。

池田
 藤井さんと少しお話ししたのですが 農場HACCP、JGAPを藤井牧場さんは取得されていますが、その中で「記録を付けて行かなきゃいけない」、HACCPだと「記録を残すこと」っていうのが必要・重要なことだと思うのですが、そこに対してvetellは今どのように貢献できていますか。

吉田
 色々な記録の紙がありまして、その(記録の)転記・転記ってなってくるとその転記のミスとかもまた生まれてくるので、僕としては出来るだけその転記の回数を最小限に減らしたいなというのはあります。
 今検討しているのは、投薬履歴のあった牛だけをcsvとして出力し(管理獣医師に)印鑑押して頂ければ、「何枚も何枚も印鑑押す必要も無くなって行くよね」って話も出ていまして、先生の手間も掛けずに済みますし、何枚も投薬(記録)の紙を残して置かなくても済むようになるのかなと感じています。

池田
 そうですね。
 情報が1つの箇所にほぼ全て集まっているので、それを牧場さんによってどのように使いやすい形に出力するか、今出しているような日報のような紙とか、その日その日に治療があった牛のリストみたいなのっていうのは、(vetellの)リスト作成機能でもすぐに出せますので、そこは今後うちのカスタマーサポートと一緒にやって行きながら藤井牧場さんに合った形、どうやったら一番使いやすいかというのを、引き続き弊社で伴走をして行きたいと思っています。
 弊社としても、導入したら終わりとか、導入したら「農家さん、じゃ自分でやってくださいね」では、やはりなかなか難しい面もあるので、色々なことができるシステム(vetell)だからこそ使いこなすのにもある程度時間が必要だったりしますし、そのあたりは弊社の方でカスタマーサポートが全力でサポートしますし、ある程度必要なリストの出し方・プログラムの設定の仕方とかはこっち(弊社)が予めセットするとか、一緒にその場でセットするということも可能ですので、引き続き一緒にやって行きましょう。

吉田
 vetell で記録を取って行くことでのメリットというのは、今まで自分たちの目で見ながら五感を使いながら見てきた「主観的」な牛の見方っていうものを、「客観的」に数字として見ていった上で、「あれっ?」って気付ける部分が増えてくると思うので、そういった部分を改善ポイントとして使って行きたいです。
 あとは、その種ごとに販売価格の動向ですとか、「この親牛の子供ちょっと体調崩しやすいよね」とか、そういった記録を積み上げて行くことで見えてくる部分っていうのがあると思うので、そういったところから技術面であったり、選択の部分であったりというものに反映させて行ければなと思っております。

池田
 そうですね。
 僕達もvetellで体調の記録を積み重ねて行くことで、その後の治療の記録とかも入って、更に最終的に成長の記録、販売の記録と全部リンクさせて行くことで、「この時期にこういう病気をしていたら販売価格が落ちるよね」とか「成長の伸びが悪いよね」とかいうのが出てくるのが分かるので。それが今まで経験上皆さん分かっていても、数値としての評価ってなかなかしにくかったと思うんですね。

吉田
 そうですね。

池田
 それを皆さんで共通の認識を牧場として持てれば、より良い生産性・生産ができる・効率がアップするということに必ず繋がって行くと思っています。

吉田
 僕らは自分たちでも勉強するんですけども勉強した上で牛を見ながら経験を積んでいったものを、どうやって人に伝えて行こうかというところが、僕も課題に感じているのです。そこ(経験)を「文字・文章を書いておかないとね」って話はその都度その都度出ているんですけれども、こういう記録があることによってそういう説明がしやすくなるし、助かります。

池田
 はい、ありがとうございます。今は子牛メインで使われていて、子牛の疾病もしくは病気になった時の的確な治療の方に活かせて頂けると思うんですけど、今後は繁殖とか搾乳の方ですね、どうやって効率よく管理して行くかというところは、VETELL社として一緒に考えて行きたいと思っています。

吉田
 はい、お願いしますありがとうございます。

池田
 はい!